生前贈与〜生前から財産を贈与されていたときの手続き〜生前に贈与が行なわれる理由の一つは、多額の財産を持った贈与者(=贈与する人)が亡くなった場合に、受贈者(=贈与される人)が一度に多額の相続税を、納める負担を軽減するためです。 贈与税の申告は、1年間に110万円を超える金銭や不動産の贈与を受けた人が、申告しなければなりません。 つまり、生前から毎年110万円以下の贈与であれば申告する必要がなく、たとえ110万円を超えた場合でも、超えた分だけに課税されます。これを「一般課税方式」と呼んでいます。 もし、毎年110万円の現金を子供に贈与していけば、10年間で1,100万円の贈与が無税扱いとなります。 この課税方式は、現金、株式、不動産であれ、贈与する財産の種類が問われることはなく、1年間の贈与金額の合計が110万円以下であれば、無税となります。 また、贈与者、受贈者の制限はなく、贈与者Aからその友達Bに生前贈与したときも、贈与者Aからその子供Cに生前贈与したときも、同様の扱いとなります。 ただし、無税枠ぎりぎりの110万円の生前贈与を、毎年繰り返していると、税務署によっては明らかな税金逃れとみなされることもあります。 このような場合は、贈与額を少し減らしたり、あるいは110万円を超える贈与を行い、多少なりとも贈与税を納めることも考えておく必要があります。 また、平成15年から新たに「相続時清算課税方式」が設けられ、65才以上の親から20才以上の子供への、生前贈与に関しては2,500万円まで非課税扱い(=特別控除)となりました。 もし、2,500万円を超えた場合は、その超えた分に対して20%の贈与税を納めておけば、相続時に全て清算されることになっています。 例えば、ある年に父親から3,500万円の現金を贈与された子供は、 一度、(3,500-2,500)×20%=200万円の贈与税を納めます。 その後、父親が亡くなって相続税が発生した場合には、相続税から先の200万円が差し引かれることになります。 つまり、先に支払った贈与税は、相続税の前払いとみなされるわけです。不動産などの分割しにくい遺産は、この制度を利用するとよいでしょう。 ただし、生前贈与される人は、上記のどちらかを自由に選ぶことができますが、両方を併用することはできません。 そして、相続時清算課税方式を選んだときは、父親が亡くなって相続が開始されるまでは、一般課税方式に変更することはできません。 ・次ページ →贈与契約書 |
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