火災保険と失火責任(賃貸の場合)〜賃貸マンションでは、大家さんへの賠償責任がある〜では、一戸建住宅やマンション、アパートなどが賃貸の場合は、どうなのでしょうか? このケースでは、失火責任法と民法415条・債務不履行の、2つの法律が関係してきます。 失火責任法では、自分が住んでいる賃貸物件から失火したときも、近隣からの延焼で自分に損害があったときも、誰にも賠償責任は発生しません。(失火した人に重大な過失がない場合) これは、自分の住まいが持家の場合と同じで、修繕費や復旧費は、そこに住んでいる人の負担になります。 しかし、民法415条では借り主は貸主に対して、借りたものを、元どうりにして返さなければ、損害賠償を請求できるのです。借り主が失火したときだけでなく、近隣の延焼で借りていたマンションや一戸建てが、焼けた場合も同様です。 つまり、原因は何であれ、賃貸物件を借りて住んでいる人は、それを大家さんに返すときは、借りたときの状態に戻して返す必要があります。これを、現状復帰義務といいます。 (ただし、壁紙の汚れやくすみ、床のほんの小さな傷などは例外です。 *詳細→敷金の返還について) とはいえ、火災にあった賃貸物件を、元どうりにして大家さんに返すとなると、多額の費用がかかるのが普通です。そこで、保険会社で用意されているのが、「借家人賠償責任保険」で、この保険は、貸主である大家さんへの賠償に備えるためのものです。 通常、賃貸物件を借りている人は、まず、家具や家電製品などの家財の火災保険に加入して、その特約として、借家人賠償責任保険をプラスすることになります。 このように借り主は、自らの失火と近隣からの延焼、そして、貸主(大家さん)への賠償に備えて、家財の火災保険(主契約)+借家人賠償責任保険(特約)への加入を、検討しておかなくてはなりません。 ちなみに、賃貸契約を結ぶときは、必ずこの2つの火災保険の加入を、契約の条件として定めている大家さんや、不動産業者もあります。 なお、失火した人に過失があった場合の備えには、「個人賠償責任保険」があります。この保険では、たとえ失火した人に重大な過失があったときでも、近隣の被害者に賠償金が支払われます。 |
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