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相続税対策・贈与の利用(1)

〜贈与による相続開始前の節税対策(1)〜

相続税対策として、相続開始前に準備できるものの1つとして贈与があります。
贈与とは、財産を無償で相手に与えることで、相手もこれを承諾したときに成立します。贈与による相続税対策の主なものは、以下のようになっています。

1. 贈与税の基礎控除の利用
1年間に受け取った贈与財産については、基礎控除として110万円まで認められ、贈与税は課税されません。これを、”暦年課税制度”と呼んでいます。

例えば、配偶者である妻と子供2人に贈与する場合は、
1年間で、110万円×3人=330万円  10万間で、3,300万円
までは、非課税で財産を贈与できることになります。
ただし、相続開始前3年以内の贈与は、相続税の課税対象となります。

また、毎年、現金で110万円づつ長年定期的に贈与を繰り返した場合は、あきらかな相続税逃れとみなされ、贈与税が課税される可能性があります。これは”連年贈与認定”と呼ばれています。

これを避けるためには、
 ・ときどき110万円を超える贈与を行い、多少なりとも贈与税を納める
 ・贈与するたびに、贈与契約書を作成する
 ・贈与するたびに、贈与の金額や内容、あるいは、贈与する時期を
  ランダムに変える

などの対策を用いる必要があります。贈与税を多少でも納めておけば、税務署の受け取り方もずいぶん違ってきます。
*参照→贈与税と税率

2. 贈与税の配偶者控除の利用
配偶者から、居住用の不動産やこれを購入するための資金を贈与されたときは、最高2,000万円までの配偶者控除があります。基礎控除の110万円と合わせて、最高2,110万円までを相続税対策として利用できます。

ただし、夫婦の婚姻期間が20年以上必要で、この控除を利用できるのは1回だけなど、いくつかの条件を満たしていなければなりません。
*参照→贈与税の配偶者控除

3. 住宅取得資金贈与税の特例を利用
20才以上の子供がマイホームの購入資金を、親から贈与してもらうときは、最高3,500万円まで控除されるものです。

この特例は、”相続時精算課税制度”を相続人が選択したときに、利用できる特例です。

相続時精算課税制度とは、相続が開始したときに贈与税と相続税を一括で精算する制度で、相続人は、この制度かあるいは、従来の暦年課税制度のどちらかを自由に選択することができます。

ただし、相続時精算課税制度を選択した場合は、暦年課税制度に戻すことはできなくなり、年間110万円の基礎控除も利用できなくなります。
*参照→住宅取得資金贈与税の特例

4. 収益見込み財産の贈与
高い配当や株式や高い利回りの公社債券、あるいは賃貸収入を得ることのできる、マンションやアパートを贈与する方法があります。
贈与税は、株式、債券、不動産それ自体には課税されますが、それらからの配当や家賃収入に対しては、課税されることはありません。

もちろん、別に利子税や所得税がかかってきますが、金銭を直接贈与する場合に比べて、将来の収益を見込むことができ有利になります。
・次ページ →相続税対策・贈与の利用(2)
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